診療放射線技師ってどうやってなるの?
医療の現場で欠かせない存在の一つが、「診療放射線技師」です。
レントゲンやCT、MRIなどを操作して、病気の早期発見に貢献する専門職の国家資格になります。
✅この記事でわかること
- 診療放射線技師になる方法
- 必要となる学費
- 放射線技師を目指すメリットデメリット
この記事では、「放射線技師になるには?」について。
放射線技師になるために必要な学費の相場。
また放射線技師を目指す上での、メリットデメリットについても紹介します。
実際、放射線技師になるには3つのSTEPが必要になります。
- 国家試験の受験資格を得る
- 国家試験に合格する
- 病院やクリニックに就職する

放射線技師を目指す上では、まずは国家試験受験のための資格を得る必要があります。
診療放射線技師になる方法

STEP1:国家試験の受験資格を得る

診療放射線技師としての資格を得るためには、まずは国家試験の受験資格を得る必要があります。
診療放射線技師としての国家試験を受けるためにまず必要になってくるのが、学校へ通うこと。
養成課程のある大学や専門学校で、3年以上必要な技能や知識を修得する必要があります。
この養成学校に通う課程については、医師や看護師などと同じです。
まずは大学や専門学校に入学し、勉強や実習を受けて学校を卒業。
そして養成課程を修了し卒業することで、診療放射線技師の国家試験の受験資格を得ることができます。
一般的な資格とは違い、指定された学校での学びが必要なのが診療放射線技師の国家試験。

実際に放射線技師学校に通いながら、国家試験に必要となる勉強をしていく必要があります。
STEP2:国家試験に合格する

養成学校を卒業後、診療放射線技師としての資格を得るためには年1回の国家試験に合格する必要があります。
診療放射線技師国家試験の科目
- 基礎医学大要
- 理工学・放射化学
- エックス線撮影機器学
- エックス線撮影技術学
- 診療画像検査学
- 画像工学
- 医療画像情報学
- 核医学診療技術学
- 放射線治療技術学
- 放射線安全管理学及び医療安全管理学
診療放射線技師の国家試験は、毎年2月に実施されます。
国家試験の合格率は年によってバラつきはあるものの、近年は70〜80%台で推移。
実際は学校での卒業試験や定期試験なども、国家試験に模してマークシート形式になっている学校がほとんどです。
定期的な試験でマークシートに慣れておくことで、国家試験本番でもスムーズに取り組み始めることが可能。
卒業試験の時点で国家試験の出題範囲も網羅されているので、そこまで無理なく受験することができます。
実際卒業した放射線技師の中でよく言われているのが、「国家試験よりも卒業試験の方がむずかしかった」ということ。

卒業試験を無事に合格できれば、そのままの勢いで国家試験に臨むことができます。
STEP3:就職する

国家試験を合格することで、診療放射線技師として働き始めることが可能になります。
ただし放射線技師として働く上では、就職活動も必要。
実際に国家試験の勉強と並行して就職活動を行う人もいれば、卒業試験や国家試験がひと段落してから就職活動を本格的に始める人もいます。
主な就職先一覧
一般的な病院はもちろん、クリニックなどでも放射線技師として働くことができます。
また病院やクリニックの規模によって、検査の機器もさまざま。
大学病院ほど検査機器も多く、複数台のモダリティを兼ね備えている施設もあります。

昔は合格発表が4月の中旬だったため、合格発表までは機器の操作やポジショニングなどの補助的な仕事をすることが多かったです。
放射線技師になるために必要な学費

診療放射線技師を目指す上で気になるのが、「学費はいくらかかるのか」です。
結論としては、大学では約250〜800万円、専門学校では約400〜500万円が目安になります。
もちろん大学も専門学校も、学校によって学費の誤差は出てきます。
ただし国家試験の受験資格を得るためには、どちらかの養成機関で専門的に学ぶことが必要。

なのでここでは、大学と専門学校それぞれの特徴を詳しく紹介していきます。
大学で学ぶ場合の学費と特徴
大学で診療放射線技師を目指す場合、国公立大学か私立大学かで学費の相場が変わってきます。
大学の学費
- 国公立大学:4年間で約250〜300万円
- 私立大学:4年間で約600〜800万円
大学の特徴は、放射線に関する専門知識だけでなく、幅広い教養や研究にも触れられること。
臨床実習も、大学に附属する病院などで行われるので充実しているケースも多いです。
なので卒業後、総合病院や大学病院でのキャリアにつながりやすいのも特徴になってきます。

そのため学費は高めでも、幅広い学びを得たい人や研究に興味がある人には大学進学がおすすめになってきます。
専門学校で学ぶ場合の学費と特徴
専門学校で学ぶ場合、学費は3年間で約400〜500万円が相場になってきます。
専門学校の学費
- 専門学校:3年間で約400〜500万円
専門学校は大学よりも短期間で資格取得を目指せるため、学費を抑えたい人や社会人から再チャレンジしたい人に選ばれています。
専門学校の特徴としては、夜間部もあります。
養成期間としては4年間になるので学費は上がってきますが、1度大学や社会人を経験後に国家資格を目指して学ぶ人も多いです。
専門学校では現場で必要な技術や知識に直結したカリキュラムが多く、即戦力として働けるのが強み。
ただし大学のように研究や学術的な学びは少ないため、進路の幅はやや限定される点に注意が必要です。

できるだけ早く資格を取りたい人、コストを抑えて学びたい人には専門学校進学が向いています。
放射線技師を目指すメリット

職業として安定している
診療放射線技師は、病院という会社に勤めることで職業として安定しています。
就職をする上で心配なのが、会社が安定しているかどうか。
頑張って入社した会社がすぐに潰れてしまっては、また就職活動が必要になってしまいます。
その点病院やクリニックであれば、そうそう潰れることはありません。
もちろん全く無いとはいえませんが、一般的な中小企業よりは確率として少ない。
実際高齢化が進む中で、レントゲンやCT、MRIなどの画像診断は欠かせません。
なので医療系国家資格ということで景気の影響を受けにくく、病院やクリニックなどで安定した働き方が可能になります。
またいざという時、次の職場を探しやすいのもポイント。

診療放射線技師という国家資格を持っていることによって、一般的な就職活動よりは就職活動もしやすくなります。
国家資格という専門技術
診療放射線技師は、看護師などと同じような国家資格になります。
国家試験は、受験するだけでもかんたんではありません。
前述の通り、大学や専門学校卒業後、国家試験に合格する必要があるため。
しかし難易度が高い分、自分の人生において役立つ資格になるのは間違いなし。
国家資格ということで、正社員として就職すれば安定した収入が得られます。
公務員採用の場合は、さらに福利厚生が充実。
また診療放射線技師の場合、専門技術を活かすこともできます。
最新の医療機器(CT、MRI、放射線治療装置など)を扱う高度なスキルはもちろん。

キャリアを積めば、CTやマンモグラフィなどの上位資格でさらに専門性を高めることができます。
医療分野の知識が自然と身に付く
放射線技師は医療職として病院で働くことによって、一般的な医療知識も自然と身に付いていきます。
放射線技師としての画像診断は、病気の早期発見や治療に直結します。
さらに医師や看護師、臨床検査技師など多職種と連携しながらチーム医療を支える存在。
そんなチーム医療の一員として働く中では、一般的な医療知識や経験も身についていきます。
たとえば身近なケースであれば、AEDの使い方など。
教習所などで習ったことはあっても、いざ実際に必要な場面になったら意外と動けないもの。
しかし病院で働いている以上、いざという時に動けないでは通用しません。
なのでAEDなどの使い方講習はもちろん、定期的な実習もあります。

常に意識して仕事していくことによって、一般的に必要な医療知識が自然と身についてきます。
資格を持っていることで転職しやすい
診療放射線技師としての国家資格を持っていることで、転職活動もしやすくなります。
普通の会社員であれば、持っている資格も限られてきます。
さらに持っている資格が、転職しようとしている企業などに有利かどうかはわかりません。
しかし放射線技師の場合は、国家資格をもっていることで転職活動もしやすくなります。
転職活動をする上で重要になってくるのが、即戦力になるかどうか。
放射線技師であれば同じジャンルで転職することができ、仕事内容としてもそれまでの経験を活かすことが可能。
もちろん納得のいく転職先が見つかるどうかは、タイミングによる部分もあります。

しかし働きながら転職エージェントなどに登録するだけでも、転職のタイミングを逃すことも少なくなってきます。
放射線技師を目指す上でのデメリット

国家試験はかんたんではない
国家試験ということ魅力的な診療放射線技師ですが、国家試験は決してかんたんではありません。
国家試験を受験するための、大学や専門学校への入学試験はもちろん。
卒業試験や国家試験へ向けては、広い範囲での暗記が必須になってきます。
もちろん、大学や専門学校では国家試験に向けた科目の勉強はします。
それでも出題の範囲は広く、3年〜4年をかけて勉強する範囲を覚える必要が。
そして人によっては、苦手とする教科もあるはずです。
さらに実際の国家試験は選択問題ですが、正誤問題のひっかけなども多いので正しい知識を覚えておく必要があります。

どんな資格試験においても暗記は必要で、診療放射線技師も例外ではありません。
主に理系分野の勉強が必要
診療放射線技師という職業は、文系よりも理系の知識が必要な専門職になってきます。
理系というと、数学や物理、電気工学など。
機械工学などのような、専門的な分野も含まれてきます。
なので文系のような、現代文や古文、社会史などはほとんど必要ありません。
理系が得意な人からすれば、抵抗なく勉強を進めていけます。
しかしそうで無い場合、理系の分野を勉強する上では苦労する場合も。
ただもちろん、文系の高校などから進学して診療放射線技師の資格を取った人もいます。

それでもメインは理系の分野になってくるので、放射線技師を目指す上では覚悟が必要になってきます。
意外と肉体労働の面もある
診療放射線技師という職業は一般的には病院職のため、病院職ならではの大変さがあります。
まず業務として関わるのは検査機器だけでなく、人間も相手にすることになります。
なので話が通じる相手もいれば、お年寄りや認知症患者、寝たきりの患者さんに対する検査は大変です。
さらに夜勤や当直がある職場の場合は、体力的な大変さも出てきます。
大学病院や救急指定病院では24時間体制で撮影を行うため、夜勤や当直勤務が必要になる場合があります。
なので生活リズムが乱れやすく、体力的な負担も大きくなってきます。
そして日勤帯でも、検査件数が多いと立ち仕事が続いて腰や肩への負担が大きくなることも。

実際に当直業務などをしていると、救急撮影などで重症患者を対応する際は精神的なストレスも伴います。
放射線技師だからこその被ばくリスク
診療診療放射線技師として働く上では、被ばくによるリスクへの配慮も必要になってきます。
放射線技師は放射線を扱う仕事なので、被ばく対策が必須。
もちろん被ばくのリスクがある場合は、業務中も防護服の着用などをしています。
防護服を着用することで、自身への被ばく線量を抑えることは可能。
他にも線量のモニタリングなど厳格な管理が行われていますが、それでも被ばくのリスクがゼロになるわけではありません。
法律によって個人被ばく線量の管理も行われているので、人体に影響が出るほどの被ばくをすることはまずありません。

それでも診療放射線技師として仕事をしていく上では、被ばくによるリスクは避けられません。
放射線技師になる方法 まとめ

この記事の中では、診療放射線技師になるための方法を紹介してきました。
診療放射線技師になる方法
- 国家試験の受験資格を得る
- 国家試験に合格する
- 病院やクリニックに就職する
必要となる学費については、大学か専門学校かによって変わってきます。
また診療放射線技師は、医療職ということで職業として安定しているのが特徴。
国家資格を持っていることで、転職活動もしやすくなってきます。

放射線技師として働く上では、いろいろな環境や機器に触れることでスキルアップしていくことができます。
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