診療放射線技師として技師会は入った方がいいの?
診療放射線技師として働き始めると気になるのが、「放射線技師会の存在」です。
働く病院によっては、入会している人も多いのが放射線技師会。
なので周りが入会しているからと、入会した方が良いのか気になる部分ではあります。
✅この記事でわかること
- 放射線技師会に入会するメリットデメリット
- 技師会に入会した方が良い人
- 技師会に入会しなくても問題ない理由
この記事では、「放射線技師会への入会が必要か」について。
放射線技師会に入会する、メリットやデメリット。
また入会した方が良い人や、入会しなかった場合についても紹介します。
✅自己紹介
まず結論として、診療放射線技師として診療放射線技師会に入会するかは自由になります。
| 会員(入会する場合) | 非会員(入会しない場合) | |
|---|---|---|
| 診療放射線技師としての仕事 | 問題なく可能 | 問題なく可能 |
| 年会費 | 発生(全国+地方会費) | なし |
| 会誌・最新情報の入手 | 技師会会誌が毎月届く | 自分で情報収集 |
| 勉強会・研修 | 会員資格で参加可能 | 一般価格で参加 |
| 学会参加費 | 割引あり | 通常料金 |
| 認定資格取得 | 技師会関連資格+外部資格が取得可能 | 技師会関連資格は取得不可 |
| 人脈・ネットワーク | 広がりやすい | 限られるが、民間セミナーでの交流は可能 |
| 昇進・キャリア | 発表・認定資格が評価につながる | キャリアには影響しないケースもある |
多くの人が放射線技師会への入会で悩む原因は、技師会の会費になります。
学会や勉強会への参加費が安くなったり、毎月会誌が届くことで診療放射線技師としてのスキルアップの面では大きく役立ちます。
しかし一方で会費が決して安いわけではなく、そこまで積極的にスキルアップを目指していない人にとってはそこまでの価値があるかはむずかしい部分。
なので実際の現場では、放射線技師会に入会していない診療放射線技師も意外にいます。

もちろん学会の発表などでスキルアップして収入アップもできますが、年収アップであれば転職するのもひとつの方法になります。
診療放射線技師の転職については、こちらの記事で紹介しています。
日本診療放射線技師会に入会するメリット

学会参加費が安くなる
日本診療放射線技師会に入会する最大のメリットの一つが、学会参加費が割安になることがあります。
診療放射線技師としてスキルアップを目指すには、最新の医療技術や知見に触れることが欠かせません。
特に日本放射線技術学会などの大きな学会は、日常業務では得られない情報や人脈を築く貴重な場。
そんなスキルアップに欠かせない場も、日本放射線技師会の会員であれば参加費が非会員よりも安くなります。
年会費が安くなることによって、年間を通じて複数回参加しても負担を抑えることが可能。
結果的に、自己負担を抑えながら知識をアップデートできるのが大きなメリットになってきます。
「お金がかかるから学会に参加できない」というハードルを下げることで、より積極的に参加してキャリア形成にも役立つ。

学会への参加費だけでなく、頻繁に開催される各種勉強会への参加費も安くなるメリットもあります。
毎月技師会の会誌が届く
診療放射線技師会に入ると、最新情報をまとめた会誌が毎月届くようになります。
医療技術は、年々進化していきます。
なので現場で働いて得る情報だけでは、最新の情報に触れるのがむずかしい場合も。
そんな中技師会の会誌では、実際の業務に直結する内容がわかりやすくまとめられています。
- 新しい学術
- 検査方法
- 学会情報
- 法改正
毎月届く技師会誌読むだけで、自然と最新の情報を得ることが可能。
さらに他施設の取り組みや現場の工夫例なども掲載されているため、自分の業務改善に活かせるヒントも多いのが特徴になっています。
技師会誌を活用することで、時間をかけずに効率的に情報収集ができるというのが大きな利点。

参考になる特集なども多いので、ぼくの職場のように届いた会誌を放射線科内で管理している病院も多くなっています。
日本診療放射線技師会の保険に入れる
さらに技師会に入会する特典として、技師会独自の保険制度に加入できることもあります。
診療放射線技師は医療現場で働くため、万が一の事故などに備える必要があります。
そこで技師会では会員向けの保険を用意していて、診療放射線技師としての業務中のトラブルも保障しています。
実際の保障としては、業務中の事故や損害賠償への対応、さらには個人賠償責任保険など。
なので、診療放射線技師の仕事に直結する保障がそろっています。
個人で保険に加入するよりもコストを抑えられ、医療職のリスクに特化している点が大きな強みにもなっています。
安心して働ける環境を整えることは、キャリアを長く続けるためにも非常に重要。

普段はあまり気にしていない部分だからこそ、技師会の保険制度は万が一があった時の強力なサポートになります。
日本診療放射線技師会に入会するデメリット

年会費がかかる
診療放射線技師会に入会する上で、もっともデメリットになるのが年会費がかかることです。
放射線技師会の活動は、会員からの会費によって運営されています。
そのため、加入すると年間で一定額の費用が発生。
(公社)日本診療放射線技師会
| 入会種別 | 入会金 | 年会費 | 初年度合計 |
|---|---|---|---|
| 通常入会 | 5000円 | 14000円 | 19000円 |
| 技師籍登録初年度 | 無料 | 無料 | 無料 |
出典:日本診療放射線技師会HP
実際に年会費は、「日本診療放射線技師会費+地方診療放射線技師会費」になります。
もちろん技師会誌の配布や学会参加費の割引などメリットもありますが、人によっては負担も大きく感じる金額。
特に若手の技師や非常勤勤務の技師にとっては、この年会費は大きなハードルにもなってきます。
つまり、自分がどこまで技師会を活用するかによって年会費の「価値」も変わってきます。

ぼくの場合も、入会した最初の時は価値よりも高い年会費のイメージしかありませんでした。
都道府県の技師会も入会することになる
日本診療放射線技師会に入ると、都道府県ごとの技師会にも同時に入会する必要があります。
全国規模の日本診療放射線技師会と、地方規模の診療放射線技師会は連動しています。
なので、原則として入会すると両方に加入する仕組み。
そして年会費などは別々になっているので、日本診療放射線技師会+都道府県診療放射線技師会の年会費がかかることに。
年会費については、診療放射線技師の籍を置く都道府県によっても変わってきます。
なので複数年にわたって技師会への加入を継続する場合、負担額としても小さくありません。
(公社)東京都診療放射線技師会
| 入会種別 | 入会金 | 年会費 | 合計 |
|---|---|---|---|
| 新入会 (新卒・既卒を問わず) | 5000円(年会費含む) | 0円 | 5000円 |
| 再入会 (1度退会後、サイド入会する場合) | 14000円(年会費含む) | 0円 | 14000円 |
| 第2年度以降 他道府県より転入初年度 | 0円 | 11000円 | 11000円 |
たとえば東京都で診療放射線技師として働く場合、2年目以降は年会費で25000円(14000円+11000円)かかってくることになります。

「代表的なのだけ加入すれば良い」と思っていても、実際は各都道府県もセットになってくるのが診療放射線技師会です。
学会発表する際には在籍が必要
さらに注意したいのが、学会発表を行う際には技師会の在籍が求められることです。
診療放射線技師としてスキルアップをするためには、学会での発表が必要な場合もあります。
そんな学会での登壇を目指す場合、多くの学会では会員資格を持っていることが前提となってくることも。
なので診療放射線技師会に入会していなければ、そもそも発表の機会を得ることができない可能性があります。
学会での研究発表などを積極的に行いたい人にとっては、技師会への加入が必須条件。
ただ逆に学会などでの発表予定のない人にとっては、使わないのに会費を払う状況にも。
このように、キャリアの方向性によっては診療放射線技師会への加入が負担になる場合も出てきます。

年会費については特にプランがあるわけではないので、学会への参加込みでの金額になってきます。
診療放射線技師会に入会した方がいい人

技術や知識を付けてスキルアップしたい人
「診療放射線技師としてのスキルをもっと高めたい」という向上心がある人には、診療放射線技師会への入会がおすすめです。
前述の通り、技師会に入ると学会や研修会などへの参加も多くなります。
なので学会や勉強会への参加を通じて、最先端の技術や知識に触れる機会が増えることに。
特に医療現場は進歩が早く、数年前の知識だけでは通用しないことも少なくありません。
なので技師会を活用することで、日常業務では得られない情報を効率よく吸収できて自然と周囲との差がつく場合も。
各モダリティごとの最新検査方法やテクニックなどの情報も得られるので、実際に自分の病院で活用することもできます。
自身のスキルアップはもちろん、同期や他施設の技師と差をつけたい人にとっては技師会は強力な武器に。

ぼくも学会や勉強会に参加することによって、刺激を受けて良いモチベーションにもなりました。
仕事がマンネリ気味な人
「最近、仕事にマンネリを感じる」「やりがいが見えない」と悩む人にも、技師会への入会は1つの転機になってきます。
診療放射線技師会では、日々の業務だけでは触れられない専門分野の学びや交流の場が得られます。
診療放射線技師を取り巻く最新の情報を得ることによって、日常とは違った刺激に。
特に学会や勉強会に参加することで、自分の仕事の意味や医療現場での役割を再認識することができます。
学会や勉強会では、診療放射線技師としてスキルアップを考えている人も多いです。
そんな周りの空気によって、「もっと学びたい」という気持ちが生まれるケースは少なくありません。
結果的に技師会を通じて新しい刺激を得ることで、仕事へのモチベーションを取り戻せる可能性もあります。

ぼくは学会や勉強会で同期と会ったことで、良い刺激を受けたこともありました。
上司などからの入会のきっかけをもらった人
実際の病院などでは、上司や先輩から「技師会に入った方が良い」と言われるケースも多いです。
上司などからの入会の誘いも、ネガティブに感じる人はいます。
ただし診療放射線技師としてのキャリアを考えた場合、入会しておいて損はない場合も多い。
実際に、昇進や評価に関わる場面で技師会の会員資格が必要になってくる場合もあります。
- 学会発表
- 認定資格取得
- 研修参加
大学病院ほど学会や勉強会での発表の場も多いので、技師会への入会はほぼ必須に。
また入会することで上司との関係を円滑にし、職場での立場を強化するきっかけになる場合もあります。
なので技師会への入会が外からの圧力と感じていても、中長期的には自分のキャリアアップにつながる可能性が高い場合も。

ただし学会や勉強会関係なく、技師長同士の関係性から入会を勧められるケースもあるので注意が必要です。
技師会に入会しなくても問題なし

入会しなくても仕事はできる
まず結論として、診療放射線技師会に入会しなくても診療放射線技師として働くことは可能です。
診療放射線技師会は、あくまでも任意団体です。
なので入会しなくても、国家資格があれば病院やクリニックでの業務は問題なく可能。
実際の病院などでは、技師会に所属していない診療放射線技師も一定数存在しています。
入会していなくても、日常業務において大きな支障は無し。
特に検診などの一般撮影中心の施設では、技師会に入っていなくても問題なく業務をこなすことができます。
つまり「技師会に入らないと仕事ができない」というわけではなく、入会はあくまで任意。

診療放射線技師として重要なのは、技師会への入会よりも実際の現場でのスキルになってきます。
勉強会にも参加可能
診療放射線技師会に入っていなくても、外部の勉強会やセミナーには参加が可能です。
近年は医療系企業や大学、民間団体が主催する公開講座も増加。
なので技師会の会員でなくても、申し込めば受講できる勉強会も多くなっています。
特にオンライン開催の勉強会は、地域に関係なく参加することが可能。
医療機器メーカーなどからの案内も多いので、技師会に所属していなくても学びの幅を広げられます。
費用は自己負担になりますが、自分の興味や必要な分野だけを選んで受講できる点はメリット。
診療放射線技師会に入会しなくても、勉強会などを通じてスキルアップの機会は確保可能。

メーカーなどから紹介される勉強会も学びが多いので、参加することでスキルアップにもつながります。
診療放射線技師会への入会 まとめ

この記事の中では、診療放射線技師会に入会した方が良いのかについて紹介してきました。
| 会員(入会する場合) | 非会員(入会しない場合) | |
|---|---|---|
| 診療放射線技師としての仕事 | 問題なく可能 | 問題なく可能 |
| 年会費 | 発生(全国+地方会費) | なし |
| 会誌・最新情報の入手 | 技師会会誌が毎月届く | 自分で情報収集 |
| 勉強会・研修 | 会員資格で参加可能 | 一般価格で参加 |
| 学会参加費 | 割引あり | 通常料金 |
| 認定資格取得 | 技師会関連資格+外部資格が取得可能 | 技師会関連資格は取得不可 |
| 人脈・ネットワーク | 広がりやすい | 限られるが、民間セミナーでの交流は可能 |
| 昇進・キャリア | 発表・認定資格が評価につながる | キャリアには影響しないケースもある |
診療放射線技師として技師会に入会するかは自由ですが、多くの人が入会で悩む原因は技師会の会費になります。
学会や勉強会への参加費が安くなったり、毎月会誌が届くことで診療放射線技師としてのスキルアップの面ではメリット。
しかし一方で会費が決して安いわけではなく、そこまで積極的にスキルアップを目指していない人にとってはそこまでの価値を感じない場合もあります。
なので実際の現場では、放射線技師会に入会していない診療放射線技師も一定数存在。

学会の発表などでスキルアップして収入のアップもできますが、年収アップであれば転職するのもひとつの方法としておすすめです。
診療放射線技師の転職については、こちらの記事で紹介しています。



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