診療放射線技師のクリニック業務は病院と違うの?
診療放射線技師の職場としては、「クリニック」もあります。
検査のモダリティが少ない分、診療放射線技師の人数も少ないのがクリニックの特徴。
当直が無いことや給与水準が高いなどのメリットの反面、技師としてのスキルが成長しづらいなどのデメリットもあります。
✅この記事でわかること
- クリニックと病院の違い
- クリニックのメリットデメリット
- 実際の1日の流れ
この記事では、「診療放射線技師のクリニック業務」について。
診療放射線技師として働く場合の、クリニックと病院の違い。
またクリニックのメリットデメリットを、実際の1日のスケジュールと合わせて紹介します。
✅自己紹介
クリニックで診療放射線技師として働く場合、病院とは違ってほとんど1人で業務を行う必要があります。
クリニックのメリット
- 日勤だけで当直などがない
- 給与水準が高い場合もある
- 長期休暇も充実
- 患者の急変が少ない
クリニックのデメリット
- 診療放射線技師以外に業務も多い
- 休みが取りづらい
- 技師としての経験は積みづらい
同じ診療放射線技師でも、病院勤務とはまた違った特徴もあるのがクリニック勤務。
ただしスタッフの人数も限られているため、新卒でのクリニック勤務はむずかしい部分も。
クリニック側も即戦力となる診療放射線技師を求めているからこそ、経験の無い新卒は採用されづらくなってきます。
なのである程度技師としての経験を積み、病院よりも落ち着いた環境で仕事をしたい場合にクリニックはおすすめ。

クリニックの求人は条件が良いものも多いので、転職サイトなどで探してみるのもおすすめです。
おすすめの転職サイトについては、こちらの記事で紹介しています。
クリニックと病院の違い

診療放射線技師の人数
クリニックでは放射線技師の人数が少なく1人で担当することも多いのに対し、病院では複数の技師がチームで働くのが一般的になります。
クリニックと病院では、施設の規模や扱う検査(モダリティ)の種類が変わってきます。
クリニックは主に外来患者を対象とした一般撮影(レントゲン)が中心で、検査件数も限られています。
一方で病院はCTやMRI、核医学検査など、いろいろな検査を行うためそれぞれの装置を担当する技師が必要に。
たとえば整形外科クリニックでは、1人の診療放射線技師がレントゲン撮影をすべて担当するケースが一般的。
一方で総合病院などでは各部門に数名ずつ技師が配置され、交代で夜勤を担当する場合もあります。
このように診療放射線技師の人数は、クリニックや病院の規模によって大きく違いが。

少人数で幅広い業務をこなすクリニックと専門分化されたチームで動く病院では、働き方や求められるスキルにも違いがあります。
診療放射線技師としての仕事内容
クリニックの診療放射線技師は「幅広く臨機応変に対応する力」が求められ、病院の場合は「専門的な技術と正確さ」が重要になってきます。
クリニックや病院の規模によって、導入している装置や検査の内容が変わってきます。
クリニックは限られた設備の中で一般撮影や簡易的なCTなどを行うことが多く、検査だけでなく患者対応や機器管理なども兼務することがあります。
一方病院では、最新の高度医療機器を扱って特定分野に特化した検査を行う機会も多い。
たとえば内科クリニックでは胸部や腹部のレントゲン撮影を中心に行い、機器の保守点検や院内の雑務を任されることも。
対して大学病院ではCTやMRI、放射線治療装置などを扱い、専門の知識を生かして検査の精度向上に取り組むのが一般的になります。
クリニックでは「オールラウンドな働き方」、病院では「専門性の高い働き方」が必要に。

自分のキャリアをどう築きたいかによって、どちらの環境が向いているかを見極めることが必要になります。
診療放射線技師の仕事内容については、こちらの記事でも紹介しています。
クリニックで働くメリット

日勤のみで当直やオンコールがない
クリニックで診療放射線技師として働くメリットとしては、日勤のみで当直やオンコールが無いことがあります。
クリニックは外来診療が中心で、夜間や休日に急患対応を行うことがほとんどありません。
病院のように24時間体制で検査を行う必要がなく、定時で帰宅できる環境が整っています。
一般的な整形外科や内科クリニックでは、診療時間が午前と午後の2部制で18時前後には業務が終了する場合が多いです。
なので家庭との両立やプライベートの時間を確保しやすく、ワークライフバランスを重視する技師向け。
当直やオンコールなどがない働き方を求めるなら、クリニック勤務は非常に魅力的な選択肢。

規則的な生活リズムを維持できる点が、クリニック勤務の大きなメリットにもんってきます。
診療放射線技師の当直については、こちらの記事で紹介しています。
給与水準が高い場合も
クリニック勤務の場合、勤務条件や専門性によっては病院以上の給与を得られることもあります。
規模の小さいクリニックでは人材確保がむずかしいため、経験豊富な診療放射線技師を採用する際に高めの給与を設定するケースがあります。
またCTやMRIなど、幅広い検査に対応できる技師は特に重宝される場合も。
たとえば都心部の整形外科やクリニックでは、月給35万円以上で賞与込みで年収500万円を超える求人もあります。
病院勤務よりも労働時間が短いにもかかわらず、高待遇が期待できる場合があるのが魅力のひとつ。
もちろんクリニックならではの大変さや忙しさもありますが、クリニックでも高収入を実現することは可能。

安定した勤務時間と高い給与を両立できる可能性があるのは、クリニック勤務ならではのメリットです。
診療放射線技師の年収については、こちらの記事で紹介しています。
長期休暇が充実している
クリニックでは病院に比べて、長期休暇を取りやすい傾向があるのも特徴です。
多くのクリニックは医師の休診日に合わせて、夏季休暇や年末年始にまとまった休みを設けています。
病院のように交代制勤務で人員を確保する必要がない分、カレンダー通りの休日を取りやすい環境が整っているのが特徴。
整形外科クリニックによっては、「お盆休み5日間」「年末年始休暇7日間」といった長期休暇が設けられている場合も。
またお盆休みについては、7日間休診としているクリニックもあります。
定期的に長期休暇を取れることは、働きやすさにも直結。

プライベートを大切にしたい放射線技師にとっては、クリニック勤務は理想的な職場環境になってきます。
急変患者が少ない
クリニック勤務では、急変患者が少なく落ち着いた環境で働けるのも特徴になります。
クリニックは基本的に、軽症や慢性疾患の外来患者を対象としています。
なので病院のように、救急搬送や緊急検査を行うことがほとんどありません。
整形外科や内科クリニックではケガや慢性的な腰痛などの患者が多く、突然の急変対応が求められる場面はほとんどありません。
これによって精神的な負担も少なく、焦らず落ち着いた環境で検査を行うことができます。
もちろん可能性が低いだけで、万が一という場合は医療従事者としての対応も必要になります。

それでも緊張感のある救急対応が苦手な人にとっては、安心して働ける職場になってきます。
クリニックで働くデメリット

診療放射線技師以外の業務もある
クリニック勤務の診療放射線技師は、撮影以外の業務を任されることが多く業務範囲が広がりやすいというデメリットがあります。
クリニックの場合、少人数体制で運営しています。
なので診療放射線技師としての業務だけでなく、事務や看護助手のような業務を兼務する場合もあります。
患者対応や会計補助、清掃や在庫管理など、本来の専門業務以外の仕事も日常的に発生。
整形外科クリニックの場合は、レントゲン撮影の合間に診察室への患者誘導やカルテ入力を行うことも。
さらにこうした雑務が多いことによって、人によっては専門職としてのやりがいを感じにくい場合があります。
クリニック勤務の場合は、幅広い業務に対応できる柔軟性も求められます。

専門職として撮影業務に専念したい人にとっては、クリニック勤務はやや物足りなさを感じるかもしれません。
休みが取りづらい
クリニックでは診療放射線技師が少人数のため、休みを取りにくいというデメリットもあります。
多くのクリニックでは、診療放射線技師が1名体制の場合が多いです。
なので常勤の診療放射線技師が欠勤すると、検査業務が止まってしまいます。
シフトであれば事前にアルバイトなどで調整できますが、急な体調不良や家庭の事情の場合は休みが取りづらい状況に。
技師が1人しかいない整形外科クリニックでは代わりに撮影を行える人がいないため、休みを取る際には医師や事務スタッフとの調整が必須。
特にクリニックの繁忙期には、有給を申請しづらい環境にもなってきます。
クリニックでは安定した勤務時間が魅力な一方で、気軽に休みを取れないという側面も。

ワークライフバランスを重視するのであれば、事前に人員体制を確認しておくことも大切になってきます。
技師としての経験は積みづらい
クリニック勤務では、病院に比べて診療放射線技師としての検査経験を積みにくいのがデメリットになってきます。
クリニックで扱う検査は、一般撮影(レントゲン)や簡易CTが中心です。
なのでMRIや核医学検査、放射線治療などの高度な検査を行う機会がまず無い。
そのため、診療放射線技師として幅広いスキルを身につけたい人には物足りない環境になってきます。
多くの整形外科クリニックでも一般撮影(レントゲン)が業務の大半を占めていて、MRIがあっても0.5Tなどの低スペックな機種。
一方で総合病院の場合は複数のモダリティを経験でき、認定資格の取得にもつなげやすい環境があります。
クリニック勤務は安定した働き方ができる反面、スキルアップやキャリア形成を重視する人には向かない環境。

診療放射線技師としての指導体制も整っていないので、新卒でのクリニック勤務はむずかしくなってきます。
診療放射線技師の認定資格については、こちらの記事で紹介しています。
クリニックでの1日の流れ

参考として、実際にぼくがクリニックでアルバイトをした時の1日の業務の流れを紹介します。
クリニックでの1日の流れ
- 出勤後 機器立ち上げ、始業点検
- 9:00 午前業務開始
- 12:30〜 午前業務終了
- 13:30〜15:00 昼休憩
- 15:00 午後業務開始
- 19:00〜 午後業務終了
- 業務終了後 終業点検、日誌
クリニックの特徴として、診療放射線技師が1人体制の場合は決まった時間に休憩に入れない部分があります。
診療放射線技師としての業務の忙しさは日によって変わり、患者や検査件数が多い日は業務が終わるのも遅くなってきます。
さらに1人で検査を行う場合ほど、仕事量も多くなるのでミスには注意が必要に。
しかし午後の業務が始まるまでの昼休憩が長いなど、クリニックならではのメリットも。

あくまでもぼくがアルバイトをしていたクリニックの業務ですが、ほとんどのクリニックでは似たような1日の流れになっています。
診療放射線技師のクリニック業務 まとめ

この記事の中では、診療放射線技師のクリニック業務について紹介してきました。
クリニックのメリット
- 日勤だけで当直などがない
- 給与水準が高い場合もある
- 長期休暇も充実
- 患者の急変が少ない
クリニックのデメリット
- 診療放射線技師以外に業務も多い
- 休みが取りづらい
- 技師としての経験は積みづらい
クリニックで診療放射線技師として働く場合、病院とは違ってほとんど1人で業務を行う必要があります。
なのでスタッフの人数も限られているため、新卒でのクリニック勤務はむずかしいことがほとんど。
クリニック側も即戦力となる診療放射線技師を求めているからこそ、経験の無い新卒は採用されづらくなってきます。
なので、病院よりも落ち着いた環境で仕事をしたい場合にクリニックはおすすめの職場環境。

クリニックの求人は条件が良いものも多いので、転職サイトなどで探してみるのがおすすめです。
おすすめの転職サイトについては、こちらの記事で紹介しています。







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