診療放射線技師って将来性はあるの?
診療放射線技師という職業を目指す上で、気になってくるのが「将来性」です。
今の時代、どんな職業でも「AIによって仕事が減るのでは?」といわれています。
しかし診療放射線技師の場合は、「人による仕事+AIによる利便性」が大きなポイントになってきます。
✅この記事でわかること
- 将来性を不安視されている理由
- 診療放射線技師には将来性がある理由
- 実際に働いていて感じること
この記事では、「診療放射線技師の将来性」について。
診療放射線技師の将来性が、不安視されている理由。
また将来性がある理由について、実際に仕事をしている目線から解説していきます。
✅自己紹介
診療放射線技師の仕事としての将来性は、決して悲観的なものではありません。
診療放射線技師の将来性がある理由
- 国家資格があれば働き続けられる
- がん患者の放射線治療が年々増加している
- 画像検査はAIに取って代わることができない
- 女性技師の需要が増えている
- 診療放射線技師の専門性が高くなっている
- 技師の養成学校が増えている
実際に診療放射線技師として働いている中でも、AIによる仕事環境の変化を感じる部分はあります。
さまざまな検査機器にAIが導入されたことによって、検査時や画像再構成時の利便性は増しています。
しかし一方で患者の移乗や検査時のポジショニングは人の手も欠かせないので、すべての仕事がAIに代わることはまずありません。
もちろん働く環境によって診療放射線技師の将来性の感じ方は変わってくるので、職場環境によっっては転職がおすすめの場合も。

それでも検査件数や検診の増加によって、診療放射線技師としての仕事は将来性を心配するような職業ではありません。
診療放射線技師の転職については、こちらの記事で紹介しています。
将来性を不安視されている理由

AIによって仕事が減るから
今の時代、どんな仕事も「AIの進歩によって仕事が奪われるのでは?」という不安があります。
診療放射線技師の場合のAIは、画像認識や読影補助の分野で精度が向上しています。
また、撮影条件の最適化や異常検出などの役割も。
実際、最近では各メーカーが開発している検査機器にも多くのAI技術が導入されています。
CTやMRIでは、AIがアーチファクト補正や画像再構成をサポート。
さらに画像の読影についても、AIが解析して読影の補助をしている場合があります。
このように、診療放射線技師の業務範囲にもAIによる技術が増えているのは事実。

しかし実際は、後述するように人間でなければ対応できない業務が多く残るため完全に置き換えることは困難になってきます。
診療放射線技師が飽和状態だから
診療放射線技師の将来性が不安視されている理由には、技師が増えて飽和しているという部分もあります。
実際、都市部では求人倍率が高めで競争が激しくなる傾向が。
他にも、地方では医療機関が少なく診療放射線技師の求人が少ない場合もあります。
たとえば都市部の大学病院の場合、診療放射線技師の応募者が集中してくる場合があります。
これによって、採用が狭き門になり就職できるハードルも高くなる。
またクリニックなどでは必要な診療放射線技師の人数も少ないため、欠員が出ない限りは募集をかけることがありません。
なので働きたい環境によっては、診療放射線技師の求人が少なく飽和状態に感じる場合も。

しかし求人情報も視野を広げることによって見つかる場合があるので、診療放射線技師の求人自体は決して少なくなってはいません。
働く場所(病院やクリニック)の減少
病院やクリニックの減少が報じられる中で、「働き先がなくなるのでは?」と不安を感じる場合もあります。
最近では、医療機関の統合や再編によって施設数が減っています。
特に地方の病院などでは、経営悪化などの理由によって病床数の減少や閉鎖をしてしまう病院も。
診療放射線技師として働く場合、病院やクリニックなどが職場の第1候補になってきます。
なので医療機関の減少は、働く場所が減少していることにも。
看護師に比べても採用人数が少ない診療放射線技師だからこそ、就職や転職の際のハードルも高くなってしまいます。
病院やクリニック減少の情報だけ見れば、診療放射線技師としての将来性は不安に感じる部分も。

ただし施設数が減っても技師の需要は形を変えて続くため、「働く場所がなくなる」という不安は過剰な場合もあります。
診療放射線技師には将来性がある6つの理由

資格があれば働き続けられる
診療放射線技師は国家資格なので、資格を持っている限り年齢を重ねても長く働き続けられる職種になります。
医療現場では経験値が高いほど適切な判断や患者対応が求められるので、ベテラン技師の価値が下がりにくい特徴があります。
また装置の更新や技術の進化があっても、基礎知識と実務経験があれば対応できるために職を失いにくいのが強み。
特に診療放射線技師の場合、検査時のポジショニングや撮影条件に経験の差が出てきます。
検査時のポジショニングや緊急時の対応は、経験がものを言う場面も多い。
なので50代以上でも現役として活躍している技師も多く、定年後にパートや嘱託で働くケースもめずらしくありません。
なので診療放射線技師は、資格さえ維持すれば安定して働ける将来性の高い職業。

何よりも国家資格があることで、転職の際も動きやすいのが大きなメリットになってきます。
診療放射線技師の転職経験については、こちらの記事で紹介しています。
がんの放射線治療患者が年々増加している
近年はがん患者数が増えていることもあり、放射線治療に携わる技師の需要も高まっています。
高齢化が進む日本ではがんの罹患率が年々上昇しており、外科手術だけでなく放射線治療を選択する患者も増えています。
治療装置の高精度化や治療計画の複雑化に伴い、専門スキルを持つ技師が不可欠にも。
放射線治療として代表的なのが、IMRT(強度変調放射線治療)や定位放射線治療などになります。
高度な技術を用いる治療では、装置操作や治療計画の調整を行う技師の専門性が強く求められています。
なので大学病院などでは、治療部門の強化や増設を進めている場合も。
こうした背景から、放射線治療を担う技師の需要は今後も増え続けるため将来性は非常に高い分野。

少子高齢化によって病院の需要も高まるので、診療放射線技師として働き口を無くすことも少なくなります。
検査はAIに取って代われない
医療業界のAIは進歩しているものの、診療放射線技師の仕事が完全にAIに置き換わることはありません。
最近の画像検査機器においても、画像解析や撮影条件の最適化にはAIによる補助が多くなっています。
実際に働いていても、機器の進歩による利便性は増しています。
しかしそれでも、診療放射線技師の業務においては機械だけで完結できない領域が大半を占めます。
実際の現場では、AIが異常を自動検出してもその情報を踏まえて再撮影や撮影条件変更の必要性を判断するのは技師に。
また小児や高齢者など状況に応じて配慮が必要な患者には、人間が寄り添った対応を行う必要があります。
なのでAIはあくまで補助的な役割であり、専門的な判断や対応では今後も診療放射線技師は必要。

入院患者や救急患者の移乗や撮影に関しては、AIではなく人の手でなければむずかしいです。
女性技師の需要が増えている
女性の診療放射線技師の需要は年々増加していて、女性技師を求める求人も多くなっています。
医療現場ではコミュニケーション能力やていねいな対応が求められる場面も多く、女性技師が選ばれるケースも増えています。
特にマンモグラフィ検査など、女性患者が多い分野では女性技師の配置が推奨されているほど。
近年の医療としては検診の需要が高まり、中でも乳がん検診も増加しています。
これによって、マンモグラフィ認定技師を持つ女性の採用ニーズは特に高まっています。
他にも婦人科系のクリニックや健診センターでは、「女性技師希望」という募集が出ることも珍しくありません。
このように女性の強みを生かせる場面が多いことから、女性技師の将来性はさらに広がっていきます。

一般的な病院でも、女性技師が1人いるだけでも検査時の対応に柔軟性が出て働きやすくなっています。
専門性がさらに高くなる
診療放射線技師の業務は、今後より専門性が高くなりキャリアの幅も広がると期待されています。
近年はCTやMRIの高度化や放射線治療技術の発展により、各分野で専門的な知識と技術が求められています。
加えて専門認定資格も増えているため、キャリアアップの道が明確に。
診療放射線技師の中にも、さまざまな認定資格があります。
代表的なのは、X線CT認定技師や放射線治療専門技師、マンモグラフィ認定技師など。
これらの認定資格を取得することで専門性をアピールすることができ、専門分野に特化した技師は給与面などで優遇されるケースも増えています。
こうした診療放射線技師の中での専門性の向上によって、技師としての価値は今後さらに高まる場合も。

認定資格の取得者も年々増加していることから、診療放射線技師の専門性の高まりを感じています。
診療放射線技師の認定資格については、こちらの記事で紹介しています。
診療放射線技師の養成学校が増えている
診療放射線技師の養成学校が増えていることは、診療放射線技師が今後も必要とされる職種であることの裏付けといえます。
診療放射線技師の養成学校も、国が必要と判断しなければ養成機関を増やすことはありません。
医療ニーズの高まりや技師の役割拡大に対応するため、専門学校や大学の新設や定員増が行われていることに。
ここ数年で、定員を増やした大学や放射線技術科を新設した学校も複数見られます。
これは、医療現場から「技師が足りない」という声が上がり続けていることの表れ。
一部の地域や病院では技師不足があり、他にも診療放射線技師の業務範囲の拡大によって人手が足りなくなっている部分もあります。
養成学校の増加は技師の需要が高まっている証拠であり、将来性がある職業であることを示す重要な指標。

診療放射線技師の求人が無いという地域にも偏りがあるので、視野を広げれば診療放射線技師の需要はまだ高くなってきます。
診療放射線技師の学校選びについては、こちらの記事で紹介しています。
実際に働いていて感じること

AIによって利便性は増している
AIの導入によって、診療放射線技師の業務は以前よりも効率化されて技師の負担が軽減されるなど利便性が大きく向上している部分があります。
実際の現場でも、AIは画像のノイズ除去や撮影条件の自動最適化、異常所見の提示などで技師が行う作業の一部をサポートしてくれます。
その結果、検査の質を保ちながら迅速に業務を進めることが可能に。
たとえばCTでいえば、AIが被ばく線量を抑えつつ最適な画像を生成する技術が普及。
これによって装置の方で被ばく線量を計算して抑えてくれるので、技師にとっても負担なく検査をすることができています。
またMRIでもポジショニングのサポートやアーチファクト補正、自動セグメンテーションが進んだことで、従来より短時間で検査が完了するケースも。
このようにAIの発展は技師の仕事を奪うのではなく、より質の高い検査を行うための強力なサポート役。

他にも画像読影の補助や画像再構成の部分では、AIによって利便性が増しているように感じています。
人による仕事は欠かせない
AIが進化しても、診療放射線技師の仕事は「人の判断と対応なくして成立しない」と感じる部分があります。
画像検査では、患者の状態を見ながらポジショニングを調整したり不安を和らげるためのコミュニケーションが必要になります。
これらはAIでは代替できない、臨機応変で細やかな対応が必要な部分。
たとえば、患者を検査用の寝台に寝かせたりポジショニングをしたりするのは人の手による仕事。
他にも高齢者や小児では検査中に姿勢を維持するのがむずかしいので、技師が声掛けやサポートをしながら撮影する必要があります。
さらに緊急の検査では、その場で迅速な判断を求められるため技師の経験が大きく影響。
なのでAIがどれだけ進化しても、患者に寄り添いながら最適な検査を提供できるのは最終的には人である技師。

職種によってはAIによって必要性が懸念されているものもありますが、診療放射線技師の仕事は人の力が欠かせない仕事になります。
検査の需要も変わってきている
医療のニーズが変化する中で、放射線検査の需要も年々広がり続けて技師の活躍の場も増えてきています。
少子高齢化の進行やがん検診の増加、生活習慣病の発見や治療など、画像検査の需要が高まる背景も多い。
また装置の高性能化によって、従来よりも多くの疾患が放射線検査で診断できるようになりました。
特に健康意識の高まりや画像検査精度の向上によって、施設によっては画像検査の件数も増えてきています。
PET-CTによるがん検査の普及や循環器領域でのCT活用の拡大、乳がん検診の受診者増などが代表例。
さらに救急医療体制の強化により、夜間や休日も対応できる技師が求められるケースも増えています。
こうした変化から、診療放射線技師の仕事は衰退するどころか検査の多様化と高度化によって将来性はむしろ広がっている部分も。

実際に仕事をしていても、頭部MRIや胸部CTなどの人間ドックでの検査希望も増えてきています。
診療放射線技師の将来性 まとめ

この記事の中では、診療放射線技師の将来性について紹介してきました。
実際に仕事をしていても、診療放射線技師の将来性は決して悲観的なものではありません。
診療放射線技師の将来性がある理由
- 国家資格があれば働き続けられる
- がん患者の放射線治療が年々増加している
- 画像検査はAIに取って代わることができない
- 女性技師の需要が増えている
- 診療放射線技師の専門性が高くなっている
- 技師の養成学校が増えている
実際に働いている中では、AIによる仕事環境の変化を感じる部分はあります。
さまざまな検査機器にAIが導入されたことによって、検査時や画像再構成時の利便性はアップ。
しかし一方で患者の移乗や検査時のポジショニングは人の手も欠かせないので、すべての仕事がAIに代わることもまずありません。
もちろん働く環境によって診療放射線技師の将来性の感じ方は変わってくるので、職場環境によっっては転職がおすすめの場合も。

検査件数や検診の増加によって、診療放射線技師としての仕事は将来性を心配するような職業ではなくなっています。
診療放射線技師の転職については、こちらの記事で紹介しています。






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