診療放射線技師が取れる資格には何があるの?
診療放射線技師としての国家資格取得後も、スキルアップとして「認定資格」があります。
資格取得のための難易度は低くありませんが、資格を取ることによるスキルアップや資格手当などのメリットが魅力です。
✅この記事でわかること
- 診療放射線技師の認定資格について
- 認定資格を取るメリット
- おすすめの認定資格
この記事では、「診療放射線技師の認定資格」について。
認定資格を取得することによるメリットはもちろん。
おすすめの認定資格についても紹介します。
✅自己紹介
診療放射線技師としての国家資格取得後も、講習や認定試験を受けることで得られるのが認定資格になります。
おすすめの認定資格
- X線CT認定技師
- 磁気共鳴(MR)専門技術者
- 検診マンモグラフィ認定診療放射線技師
- 放射線治療専門診療放射線技師
- 救急撮影認定技師
- 放射線取扱主任者
- 放射線管理士
- 医療画像情報精度管理士
認定資格取得の難易度は、診療放射線技師の国家試験以上の場合も。
ほとんどの認定資格では、実務経験はもちろん、講習の受講や認定試験の合格が必要。
さらに資格によっては学会での発表が必要だったりと、認定資格の中でも難易度が変わってきます。
ただし認定資格を取得することによって、自身のスキルアップや資格手当による給与のアップなどのメリットも。

大学病院などの大きな病院ほど、認定資格の取得に積極的に動いています。
診療放射線技師の転職については、こちらの記事で紹介しています。
認定資格とは

診療放射線技師の取得できる認定資格
診療放射線技師の「認定資格」とは、国家資格である診療放射線技師免許を取得した上でさらに特定分野の専門スキルや知識を証明するための資格です。
医療の現場では、画像診断や放射線治療などの技術が年々高度化しています。
なので各分野に特化した専門技師の需要も高まっていて、認定資格を持つことでスキルの裏付けと信頼性を高めることが可能に。
代表的な認定資格
- X線CT認定技師
- 磁気共鳴(MR)専門技術者
- 検診マンモグラフィ認定診療放射線技師
これらはいずれも、実務経験や講習の受講、認定試験合格などの条件を満たすことで取得できます。

認定資格はスキルの証明だけでなく、転職や昇進の際にも強いアピールポイントになってきます。
認定資格の取得方法
認定資格を取得するためには、一定の実務経験を積んだ上で各学会や団体が実施する講習や認定試験を受ける必要があります。
認定資格は、実務での経験と知識を前提にして専門性を深める資格になっています。
なので、現場でのスキルを磨いた後に受験資格が得られるケースが多いです。
検診マンモグラフィ撮影認定技師を取得する場合
- 診療放射線技師免許を持っていること
- 乳房撮影の実務経験(一定件数以上)があること
- 所定の講習会を受講していること
- 認定試験に合格すること
さらに「X線CT認定技師」や「放射線治療専門放射線技師」などは、3年以上の実務経験が必要に。
専門学会が主催する講習や筆記試験を通じて、知識と技能を評価。
なので認定資格取得には、「基礎資格(国家資格)」+「実務経験」+「講習・試験」という3つのステップが欠かせません。

焦らずキャリアを積みながら資格取得を目指すことで、診療放射線技師としての専門性と将来の可能性が広がってきます。
認定資格を取るメリット

スキルアップができる
診療放射線技師が認定資格を取得する最大のメリットは、専門分野でのスキルアップにつながることです。
認定資格は、通常の業務だけでは身につけにくい高度な知識や技術を体系的に学ぶ機会を与えてくれます。
資格取得の過程で講習会や実技試験があることで、最新の医療技術や撮影方法についても習得可能に。
たとえば「検診マンモグラフィ撮影認定技師」を取得した場合、乳がん検診における画像評価能力が高まります。
技術と知識が高まることによって、より精度の高いマンモグラフィの撮影が可能に。
さらに「放射線治療専門放射線技師」では、治療計画や線量管理の知識が深まることで患者さんに安心と信頼を与える技術者として成長が可能。
つまり認定資格の取得は単なる肩書きではなく、診療放射線技師としての専門性を高める機会に。

診療放射線技師の中でも、認定資格を持っている技師はごく少数なので非常に頼りになる存在です。
資格手当がつく
認定資格を取得することによって、勤務先によっては資格手当が支給されて収入アップにつながる場合があります。
認定資格を持つ診療放射線技師は、専門性の高さや業務の正確性が評価されて病院にとっても貴重な人材に。
その結果、給与面で優遇されるケースも多くなってきます。
たとえばマンモグラフィ認定技師や放射線治療専門放射線技師などを取得している場合、月5,000円〜15,000円程度の資格手当が支給される病院もあります。
さらに資格を持っていることで昇進の対象になりやすく、長期的に見ると年収アップにも。
なので認定資格の取得は、スキル面だけでなく金銭的なメリットも期待できる点が大きな魅力です。

認定資格取得のための努力が報われる形で給与に反映されるのは、モチベーション維持にもつながってきます。
診療放射線技師の年収については、こちらの記事で紹介しています。
認定資格保有者限定の求人に応募できる
認定資格を持っていることで、資格保有者を対象とした専門職の求人に応募できて転職の際の選択肢が広がります。
医療機関によっては専門分野の即戦力となる人材を求めていて、特定の認定資格保有者のみを条件とする求人を出すことがあります。
なので認定資格を持っていることで、採用側から即戦力として高く評価される場合も。
こうした求人は給与や待遇が良い傾向にあり、専門分野に特化して働けるのも魅力です。
たとえばがん治療センターでは、放射線治療専門放射線技師限定の求人が。
また乳腺専門クリニックの場合は、検診マンモグラフィ撮影認定技師資格を必須としている場合もあります。
認定資格を持つことで、キャリアの幅が大きく広がって自分の得意分野を活かした職場選びが可能に。

認定資格は転職市場でも有利に働くため、将来の選択肢を増やす大きな武器になります。
おすすめの転職サイトについては、こちらの記事で紹介しています。
おすすめの認定資格8選

X線CT認定技師
X線CT認定技師は、CT検査に関する高度な撮影技術と画像解析力を持つことを証明する資格です。
CTは医療現場で最も使用頻度が高く、精度の高い画像を撮るには技師の知識と経験が欠かせません。
なのでこの資格を持つことによって、被ばく低減や画質最適化の知識を深めることが可能になります。
受験資格
- X線CT認定技師講習会またはX線CT認定技師指定講習会の受講
- 診療放射線技師の免許を有し、診療業務経験5年以上
- X線CT臨床実務経験3年以上
日本X線CT専門技師認定機構によって認定されているこの資格は、取得には実務経験と講習受講が必要。
CT業務に携わる診療放射線技師にとって、X線CT認定技師はスキルアップと信頼性向上を両立できる資格になります。

さらにX線CT認定技師取得後2年以上経過すると、X線CT専門技師の資格の受験資格も取得できます。
磁気共鳴(MR)専門技術者
磁気共鳴(MR)専門技術者は、MRI検査に関する高度な撮影技術と安全管理知識を持つことを証明する資格です。
MRIは、磁場や高周波を利用する特殊な装置。
撮影条件の設定や安全対策にも、高い専門性が求められてきます。
受験資格
- 構成団体への在籍丸2年以上
- MR操作経験
- 装置の精度管理(精度管理に関する性能評価ならびに指定の科目の測定結果を提出)
- 施設の安全管理(安全管理マニュアルを提出)
- 安全管理講習の受講
- 学術成果(MRに関する学術研究発表を3回以上、もしくは学術誌への論文1編以上)
日本磁気共鳴専門技術者認定機構が認定しているのが、磁気共鳴(MR)専門技術者になります。
受験のためには、実務経験はもちろん、講習会の受講や学会などでの発表も必要。
2025年4月時点では認定者数も2000人に満たないという、非常に難易度が高い認定資格となっています。
MR専門技術者は、画像診断の最前線で活躍する放射線技師にとって信頼と技術力の象徴となる資格。

個人的には、診療放射線技師が取得できる認定資格の中でもトップレベルの難易度だと持っています。
検診マンモグラフィ認定診療放射線技師
検診マンモグラフィ認定診療放射線技師は、乳がん検診における高品質な画像撮影技術を証明する資格になります。
検診マンモグラフィ認定診療放射線技師は、日本乳がん検診精度管理中央機構(精中機構)が認定。
講習会の受講と実技評価、筆記試験の合格が必要になります。
検診などで撮影されるマンモグラフィは、乳腺などによって画像に大きく影響を受けます。
個人差が大きく、診断精度の高い画像を撮るには専門的な知識と撮影技術が必要。
なので資格を持つことで、乳腺専門クリニックや検診センターでの需要も高まります。
女性の健康を支える重要な役割を担う資格であり、特に女性技師に人気の高い認定資格。

女性の診療放射線技師も増えたことによって、多くの受験合格者がいるのも特徴の資格になっています。
放射線治療専門放射線技師
放射線治療専門放射線技師は、がん放射線治療の分野で高精度な治療計画と安全管理を行う専門資格です。
がん治療の中心となる放射線治療では、線量分布や照射精度が治療効果に直結します。
なので、放射線治療領域における専門知識を持つ技師の存在が欠かせません。
受験資格
- 診療放射線技師の免許を有する者
- 放射線治療に関する診療業務を通算5年以上おこなっている者
- 公益社団法人日本放射線腫瘍学会、公益社団法人日本放射線技術学会、公益社団法人日本診療放射線技師会のいずれかに入会して5年を経過した者
- 申請時より過去5年以内に、別に定める認定単位を20単位以上取得していること
- 放射線治療に関する業績を有することが望ましい
日本放射線治療専門放射線技師認定機構が認定しているのが、放射線治療専門放射線技師。
受験資格取得のためには、数年以上の治療経験と講習、試験が必要になります。
ただし資格を持つことによって、治療チームの中心メンバーとして活躍することが可能に。
放射線治療専門技師は、高度医療現場で信頼される技術者の証。

それでも放射線治療を行なっている施設も限られるため、受験のための難易度も高くなってきます。
救急撮影認定技師
救急撮影認定技師は、救急医療の現場で迅速かつ正確な撮影を行う技師として認められる資格です。
救急現場での撮影は、一刻を争う場面が多いです。
なので撮影スピードと正確性、さらにはチーム医療への対応力が求められます。
受験資格
- 診療放射線技師免許保持者であり、5年以上の診療経験を有すること
- 救急診療の経験を通算3年以上救急診療業務で携わっている者
- 申請時からさかのぼって5年以内に別に定める認定単位を30単位以上取得している者
- 本申請時から過去1年間に一度は心肺蘇生法講習会を受講していること
出典:日本救急撮影技師認定機構
日本救急撮影技師認定機構が認定しているのが、救急撮影認定技師。
受験資格を得るためには、救急現場での実績はもちろん、講習の受講と試験合格が必要。
資格保有者は、救急外来や救命センターでの撮影を担当して医師の診断を支える役割を果たします。
救急撮影認定技師は、緊急医療の最前線で活躍する放射線技師の専門性を証明する資格。

救急現場での撮影だけでなく、各疾患に対する画像評価なども求められてきます。
放射線取扱主任者
放射線取扱主任者は、放射線の安全管理を行う国家資格で医療機関だけでなく研究機関や企業でも活躍の場があります。
この資格を持つことで、放射線を取り扱う事業所などにおいて放射線取扱主任者として選任可能。
放射線施設の安全基準を守り、被ばく管理や法令遵守を指導する立場になれます。
原子力安全技術センターが認定する資格であり、放射線取扱主任者には第1〜第3種まであります。
中でも医療現場では、第1種または第2種の放射線取扱主任者資格が求められます。
国家試験に合格するのはもちろん、物理や放射線防護の深い知識が必要に。
放射線取扱主任者は、安全管理のスペシャリストとして医療現場の信頼を高める重要な資格。

特に受験資格も厳しくないので、学生のうちから受験して合格している人もいます。
放射線管理士
放射線管理士は、医療現場における放射線防護と被ばく線量管理の専門家として評価される資格です。
放射線を扱う医療機関では、安全管理の知識を持つ技師が不可欠。
なのでこの資格を持つことで、組織の安全性向上に貢献することができます。
放射線管理士は、日本診療放射線技師会が認定している資格。
資格の取得のためには、数年の実務経験と指定講習の修了が必要。
資格取得に向けた学びの中では、被ばく線量の最適化や法令遵守の知識が身につきます。
放射線管理士は、医療施設における放射線の安全管理や医療被ばくの低減が主な役割。

緊急時の被ばく医療において、知識や技術を持つ人材を育成するために設けられた資格にもなってきます。
医療画像情報精度管理士
医療画像情報精度管理士は、医用画像データの精度や運用を管理するスペシャリストとして活躍できる資格になります。
画像データは、診断や治療計画の基礎となるため誤差やデータ損失が許されません。
なので精度管理の専門家がいることによって、医療の信頼性も高まります。
そんな医療画像情報精度管理士は、日本診療放射線技師会が認定している資格。
講義の内容としても、PACS(医用画像管理システム)やDICOM規格などの診療放射線技師として欠かせない画像情報の知識ばかり。
医療機関の、ITや画像管理部門で重宝される資格になってきます。
技術と情報管理の両面から医療を支える資格で、今後ますます需要が高まる分野。

より良い画像情報を提供するため、医療画像情報の適切な利用や管理を行うことを目的としています。
診療放射線技師におすすめの資格 まとめ

この記事の中では、診療放射線技師におすすめの資格について紹介してきました。
おすすめの認定資格
- X線CT認定技師
- 磁気共鳴(MR)専門技術者
- 検診マンモグラフィ認定診療放射線技師
- 放射線治療専門診療放射線技師
- 救急撮影認定技師
- 放射線取扱主任者
- 放射線管理士
- 医療画像情報精度管理士
診療放射線技師としての国家資格取得後も、講習や認定試験を受けることで得られるのが認定資格になります。
ただしほとんどの認定資格では、実務経験はもちろん、講習の受講や認定試験の合格が必要に。
さらに資格によっては学会での発表が必要だったりと、認定資格取得の難易度は診療放射線技師の国家試験以上の場合もあります。
ただし認定資格を取得することによって、自身のスキルアップや資格手当による給与のアップなどのメリットも。

認定資格は、診療放射線技師として転職する上でも大きな武器となってきます。
診療放射線技師の転職については、こちらの記事で紹介しています。




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